1840年頃から英国に定着したアフタヌーンティーの習慣。貴族のご婦人が、朝食と夕食の間の空腹に耐えかね、お茶とバター付きのパンをつまんだことから始まったとされる午後のお茶の習慣は、ヴィクトリア朝中期になると中産階級者をも巻き込んだ大衆文化となっていきました。
そんなアフタヌーンティーを彩ったアンティーク品を紹介しましょう。「ティーガウン」「ティードレス」と呼ばれた茶会用のドレスです。
左側は1880年代ヴィクトリアン期のドレス、右は1900年初頭エドワーディアン期の作品になります。どちらのドレスも着脱は1人では出来ないタイプですので、メイドさんや家族に手伝ってもらって着たのでしょう。
中産階級者にとってのアフタヌーンティーは社交の登竜門でした。
部屋の掃除はもちろん完璧に。テーブルにアイロンがきちんとかかったクロスを敷いて、お気に入りのティーカップを並べ、ピカピカに磨いたシルバーのカトラリーをセットし、お花を飾り、ティーフードの最終確認を。
すべてが整った最後に袖を通すのがこのティードレス。白い衣装に着替えることで、先ほどまでの家事のドタバタが想像できないほどの「非日常」の装いで、優雅ににこやかにゲストをお迎えするのです。
現代の私たちには少し華美なドレスですが、その気持ちだけは見習って、おもてなしの際は白い洋服に着替えてゲストをお迎えしてもいいかもしれませんね。
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