英国の名窯・エインズレイには、もう一つ、特徴的なアイテムがあります。それは磁器製のテーブルフラワー、陶花と呼ばれる「フローラル」シリーズです。英国では、花びらが落ちることを避けるため食事中は磁器製の陶花をテーブルに飾り、食後に生花を飾る、というマナーがあります。その陶花の製作を命じられたのは、ヴィクトリア女王。世界で初めて磁器製の陶花を制作したのが、エインズレイです。現在も、世界中で最も愛用されているのは、エインズレイの陶花と言われています。
花びら一枚、一枚を手で形作り、ハンドペインティング
エインズレイの陶花の特徴は、色鮮やかな色彩と熟練の5人の職人の手によって、花びらひとつ、ひとつが手作りされ、ハンドペインティングで彩色されていること。美しい透明感のある乳白色と輝き、強さをもつボーンチャイナをベースに粘着率を高めるためアラビアゴムを混ぜたクレイ(粘土)を、まず花びらや葉などのパーツごとにひとつひとつ手で成形します。それを組み上げ、花の形に整えます。
花のパーツは、1215~1230度の低温で10時間、素焼きします(Biscuit Fire)。続いて、それぞれのパーツを丁寧にひとつずつ、器に植えつけ。形づくられたところで白釉を施し(Grazing)、今度は1100度で9時間、白磁焼き(Glost Klin)という工程に進みます。
白磁焼きの次の工程は、絵付けと彩色です。器には転写紙で絵付けを施し、花びらは手で一枚、一枚、彩色します。最後に、もう一度、焼成をして完成です。
こうして出来上がった陶花には、ひとつひとつ異なった表情があります。手仕事でつくられるからこそ、花びらの形や向き、色合いに個性があるのです。
エインズレイ・ジャパンでは、エリザベスローズ ピンク、チェリーブロッサム、ハワードスプレイ、コテージガーデン、イングリッシュバイオレット、エリザベスローズ ブルー、ペンブロック、コンテンポラリーフローラル、アニバーサリー フラワー、イングリッシュガーデンの10の陶花のシリーズを扱っています。
ヴィクトリア女王のために、アルバート公が陶花のティアラを贈ったというエピソードも伝えられ、故ダイアナ妃とチャールズ皇太子の婚礼の際には、エインズレイ製の陶花のティアラが出席者の返礼に贈られました。貴族の間でも愛用され、ギフトとしても人気が高い陶花。王室ゆかりのストーリーとともに、優雅なテーブルの中心に飾って、楽しんでみてはいかがでしょうか。
エインズレイ ・ ジャパン(https://www.aynsley.co.jp/main.html)