今回はリージェンシー・スタイルのインテリアについてお話します。リージェンシー・スタイルのインテリアは、一つ前のレイト・ジョージアン・スタイルでロバート・アダムが築き上げた新古典主義様式をベースに、フランスやエジプト、中国といった異国のデザイン要素をより多くミックスしたインテリアになっています。
たとえばフランスのゴールド使い、スフィンクスなどエジプトモチーフを取り入れた家具、オリエンタルなシノワズリ柄の壁紙などなどです。装飾アイテムとして円形の凸面鏡「Convex Mirror(コンヴェックス・ミラー)」も流行し、ホールや階段の壁に飾られました。また、淡い色使いのジョージアンスタイルに比べて、全体的にヴィヴィッドで華やかな印象になっています。
素材としては大理石が好んで使用されたこと、アイアン素材が用いられたことが特徴です。
まずは大理石。暖炉のマントルピースも木製に加えて大理石製の物が流行したほか、各部を石や大理石に見せる塗装技術まで発達し、壁や柱、モールディング、さらには階段パーツにまで、巧妙な石目が描かれました。
アイアン素材は主に階段に用いられました。
手すりについてはジョージアンと変わらず、木製の渦巻き状の手すりが使われていますが、子柱はほとんどがアイアン製に変わり、様々な装飾デザインが施されるようになりました。艶のあるマホガニー色の手すりと黒いアイアンの新たなコンビネーションは新鮮なデザインポイントとなり、続くヴィクトリアン・スタイルにも引き継がれます。
文&写真 : 小尾 光一(コッツワールド代表、https://cotsworld.com/)