リージェンシーの時代に活躍したロンドンの有名な建築家がいます。彼の名は「John Nash(ジョン・ナッシュ)」。当時イギリスでただ一人のSurveyor(サーヴェイヤー)として活躍していました。サーヴェイヤーとはアーキテクトと同義語で建築家のことですが、その業務は幅広く、都市計画から始まり職人の手配・段取りなどすべてをこなし、王室に関わる建築工事をまとめる建築家のことを指します。
この時代の国王ジョージ4世が、ジョン・ナッシュに建設を命じ、Regent’s Park(リージェンツ・パーク)、Regent Street(リージェント・ストリート)、そしてバッキンガム宮殿の改築などを手がけさせました。その後の19世紀後半、リージェント・ストリートは店舗が次々と入る計画が進み、バッキンガム宮殿は国王が代わるごとに部分改装されましたが、今日でもジョン・ナッシュのデザインの面影は残っています。
特に、リージェンツ・パーク沿いのPark Crescent(パーク・クレセント)は、道のカーブに沿って弧を描いた、珍しいリージェンシー・スタイルのテラスハウスが見れるのでお薦めです。
文&写真 : 小尾 光一(コッツワールド代表、https://cotsworld.com/)